第104章 【逆ハー:卒業ルート】王道パターン、発動パートⅡ
やはり、俺の葛藤はそう長くは続かなかった。
よくよく思えば、俺がずっとナス子の傍にいればいいじゃないか。
カラ松ガール達には悪いが、俺が悪の組織からも、二人の恋路を邪魔するヤツらからもコイツを守ってやると、そう思った。
「………ダメだよ、カラ松。カラ松は、皆のカラ松、だよ?」
「いや、しかし」
「ほーら!! そろそろ出番でしょ、行ってらっしゃい、将来のカリスマミュージシャン!!」
俺の手はすぐ様避けられたナス子の頬の余韻が残るも、急に離れて行ってしまい寂しく感じた。
━━━━━━━━━━会場に出て行くと、大きなカラ松ガール達の声援がハウス中に響き渡る。
こんな俺の為にこんな所まで来てくれて嬉しいのは本当だ。
「皆、今日は俺ことこのカラ松の舞台に来てくれてサンキューだぜぇ? 最高にいいドリームを味わわせてやるからなっ」
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盛り上がる事数時間、一番後ろの壁にナス子は寄りかかり俺をずっと見守ってくれている。
逃げられてしまうのなら、もう今しかない。
「………あー、皆。ちょっといいか?」
俺が曲を中断し、カラ松ガール達を舞台から見下ろす。
不思議そうなカラ松ガール達は不思議そうな顔をしたが、俺のミステリアスかつサービス精神旺盛な行動はもうわかりきっている為か逆に期待しているようにも見える。
これから俺は、きっとファンを失うのだろう。
だが、それでいい。
「聞いてくれっ!! この歌は………ある女の為だけに作った特別な歌なんだ。もし不快に思ったのなら後で俺を全力で攻めてくれっ。しかし、俺のこの想い人には手を出さないと誓ってくれると嬉しい」
一斉に会場のざわつきが増える。
「━━━━━━━━━━もう、逃がさないぜぇ」