第104章 【逆ハー:卒業ルート】王道パターン、発動パートⅡ
「ねぇから!! それ寧ろ他人じゃん、幼馴染でもなければ親友とか姉のような存在とか全く無視じゃん。チョロ松兄さんライジングが過ぎるでしょっ、もしかしてチョロ松兄さんも記憶すっぽ抜けてるんじゃないの?!」
「え、こんなんじゃなかったかなぁ」
いや、ねぇよ。
トド松の言う通りそれじゃ他人だろうが。
ナス子の言っていた記憶喪失でチヤホヤされたい欲はこういうモノではない。
振り回すハズが逆に振り回されてグッと奥歯を噛みしめ堪える。
相手は馬鹿な長男とライジング三男だ、もっとマトモなのがいるだろうとここもなんっとか耐え忍ぶ。
「甘い、甘いなお前たち! そんなハニー妄想を誰が信じると言うんだっ」
ビシリとパジャマ姿で夜なのにサングラスを装着するカラ松が立ち上がる。
あぁ、これはもう聞く価値もなさそうだなんて六人は思っていても自信ありきなカラ松は勝手に演説を開始した為仕方なく聞く事になった。
「ナス子、よく聞いていてくれ。これを聞いていれば何かメモリーが蘇るかもしれない……俺と、そう! お前の愛のメモリーの序幕を……っ」
「は、はぁ……」
<カラ松回想>
俺は静寂と孤独を愛する男、松野カラ松。
(回想の中なのにトド松の突っ込みが小さく聞こえる、自己紹介しちゃってるよ。とかなんとか)
しかし俺の傍にはいつも俺を静寂と孤独から引っ張り上げようとする人物がいた……そう!! お前だ、ナス子っ。
「カラ松、お疲れ様! 今日もライブ大変そうだね」
「あぁ、そうなんだ。どんなに俺が静寂と孤独を望んでいてもカラ松ガール達が俺を放っておいてはくれないんでな……、幼馴染と言えど寂しい思いをさせて済まない」
実は俺は、昔から俺に気があるであろうナス子のハートにずっと気づいていた。
気づいてはいた……だがしかし、この関係を崩してもいいものかとずっと俺の中にある幼馴染、と言うジレンマが悉くその想いに応える事を躊躇わせていた。