第15章 構ってほしい長男 おそ松
「おそ松しかいないんだね、他のみんなは?」
視線はスマホに落としたままナス子がそう尋ねると、おそ松は思い出したように頬を膨らませあからさまに不機嫌な声色で答える。
「知らね!全員俺だけ置いてどっか出掛けちゃったぁ!」
「なるほど、それで暇で暇でしょうがないわけね。可哀想なおそ松」
台詞は同情しているようだが、ニヤニヤとする表情のナス子が、これっぽっちもおそ松に同情などしていないのは明白である。
ナス子の態度におそ松はさらに目を細めると、ナス子が弄くっていたスマホを突如取り上げる。
「あっ!ちょっと!何すんの!!」
「俺がいんだからスマホいじんなよっ!俺の相手して?!母さんに頼まれたんだろ?!」
「なに?!構ってちゃん?!構ってちゃんなの?!」
ナス子は必死に手を伸ばしおそ松からスマホを取り返そうとするが、身長差があり届かない。
「だーもー!!この間の遊園地行った時の写真を見てたの!じゃあおそ松も一緒に見る?写真とか興味ないと思って言わなかったのっ」
「出た~相手のこと勝手に興味ないって決め付けるやつ出た~!俺それ嫌~い!」
「わかった!わかったから!じゃあ一緒に見よ?!だから私のスマホを返しなさい~!」
ナス子がそう言うと、やっとおそ松は言われたとおりにナス子にスマホを返す。
ほっとした様子でそれを受け取り、ナス子がソファへと戻ると、おそ松も隣に座りスマホの画面を覗き込む。