第104章 【逆ハー:卒業ルート】王道パターン、発動パートⅡ
ただ、思わずトキめいてしまいニヤけそうになる口を隠すように両手で覆い演技で誤魔化す。
「毎年花粉が増してるって言うもんねぇ。平気? ぼく花粉症に効くのど飴持ってるよ。はいっ♪」
「あ、ありがとう」
トド松があどけない笑顔で飴を差し出してくれると、それを受け取ろうと手を伸ばすナス子。
「……ん?」
だがしかし、伸ばした手は避けられてしまい末っ子さながらの表情を浮かべた甘えん坊の弟を彷彿とさせるようないつものあざとい表情で
口元に飴を持ってこられてしまう。
「はい、あ~んv ほら、よくこういうやりとりもしたよね? ナス子姉は今は忘れちゃってるけどさぁ、他の兄さん達がいない時はこんな風にして二人きりでイチャついちゃってたよねぇ。ナス子姉はぼくには凄い甘えん坊さんなんだよ? へへっ」
甘えん坊ではない、ないが……実際ナス子が風邪を引いた時にトド松にフルーツを食べさせてもらった事があったのを思い出してしまう。
まだあの時は恋愛感情など全くもってなかったのだが、あの時と今では感覚が違う。
「は、ははは……ありが、とう」
断るのも何かおかしいかなと思い素直に飴を口に入れてもらう。
口の中で転がしながら、トド松の台詞を脳内で反復して……やっぱそれ違うよ!と思うのだが言えない。
それにしても久しぶりに言うかもしれないが、兄弟順に喋らないとならない呪いはたまに顔を出すらしい。
それとも今回は区別が上手くつかないと言っているナス子を配慮して上から順に喋ったのであろうか?
いや、この六人の事だ。
そんなハズはないだろう。