第104章 【逆ハー:卒業ルート】王道パターン、発動パートⅡ
普通にサラっと言っているが、ここでラヴァーとか言う台詞を出してしまう辺りがカラ松の残念な所だ。
全員と恋人同士というのは秘密だったハズなのだが、彼の脳内でその件はカラっぽになってしまったのだろうか。
カラ松の突如の台詞に他の兄弟達が無言でカラ松をリンチしているのを目の前に、全員が恋愛云々の話をして来なかったのは、自分を気遣って黙っていようと言う事にでもなっていたのだろうとナス子は悟る。
とにかくラヴァー云々は聞こえなかった事にし、スルーだ。
床に伏せて動かなくなったカラ松を一瞥した後、また兄弟達の視線はナス子へとむけられ肩がビクリとなってしまう。
一瞬でもカラ松リンチのお陰で話題が逸れて安心していたがつかの間だった。
「カラ松の気持ちもわかるよ? そりゃあ僕たちだってそうだけどさ、このまま何もせず待ってても記憶が戻る保証はないし、やれることはやっておいたほうがいいと思うんだよ」
気持ちがわかると言いながらも、その人物は床で死んでいる。
「野球する?! ボクがピッチャーやるから、姉さんバッターで! ボク頑張ってデットボール狙うよぉ!!」
「野球はしないよ十四松兄さん。それに十四松兄さんのデットボールなんて当たったらそれこそナス子姉死んじゃうからね? デスボールだよっ」
トッティナイスだ。その通りだ。
もっと言ってくれとばかりに拳を固く握り、ナス子は心の中でトド松にエールを送る。
出来る事ならそのキレる脳内でもっといい方法とか導きだして欲しいと。
ぶっちゃけ、もう思い出してます!
と言ってしまえば話は早いのだが、それじゃあつまらないと言うか全く仕返しになっていないようにも見える。
だからこそ、日頃コチラを疲労困憊させている六人が必死になる様をもっと見たいと思ってしまうナス子な訳だが、期待のトド松はこれ以上は何も言わないらしく、もう自分でなんとかする他なさそうだ。
「さすがに、わかってて物を投げられるのは嫌、かなぁ……なるべく痛くない方法がいいんですケド」
本当に投げつけられる方向には行って欲しくないのでやんわりと断りを入れておく。
誰だって痛いのは嫌だろう。
「うーん、どうすればいいのかなぁ」