第104章 【逆ハー:卒業ルート】王道パターン、発動パートⅡ
そして『この場所』と言われた場所もどこなのかわからず、早く解放されたいとは思うのに、知らない男性達に拉致られて何をされるかと震えが止まらない。
「…………部屋がわかんない? もしかしてこの家自体も知らないの?」
「知りません知りません! 誰にも言いませんっ、この場所が何かの取引に使われている怪しい場所だったとしても言いませんからあああぁぁ、誰にも言いませんかるぁらあああぁぁ」
「あぁ……姉さん、完全にパニック」
・・・
取り出されたホワイトボードに、代表のカラ松が文字を書き上げ纏めている。
やっとす巻きから解放されたナス子はその場に委縮しながらも座り、共にボードを中心に座る男性達とたどたどしくもおさらいをしていた。
「松野家?」
質問された言葉を復唱しながら、首を傾げるナス子。
質問は、この家を知っているか、この家に住む住人を一人でも知っているかだった。
「そう、俺達六つ子の家だ。もう一度聞くが、本当にこの家も、この家に住んでいる俺達含めマミー、ダディもわからないんだな?」
「はい、全く……すみません」
申し訳なさそうに深々お辞儀をする彼女にまたも鳥肌が経ちそうになる六つ子はブンブンと首を振って我慢だ。
「と、なるとまた話は変わってくるね。僕らだけ忘れられた訳じゃなくて僕達関係の全てが記憶から抜けちゃったって事か。これは思ったより大分すっぽ抜けてるね」
「すみません……」
「いいよ、そんなに何度も謝んなくても……顔でわかるから」
一松が彼女の気持ちを察しフォローを入れるが、それでも元よりの性格が邪魔してしまいやはり謝ってしまう。
「すみませ……あ、ごめんなさい、つい癖で」
「怖いっ、怖いよ俺ぇ! こんなにナス子に謝られる事なんて一度もなかったからか震えが止まんないよぉ」
と、おそ松が自分を抱きしめ腕を摩るが、そんな二人の様子を見ながらそう言えばナス子って他人にはこんな感じに接するんだったなと思い返してこれはもうこういうもんだと腹をくくるその他の松達。
そうでもしないと展開が転回しそうもない。