第103章 【リク作品】【逆ハ卒業ルート】六つ子と私:(過去編)あの頃
私だけじゃなく、勿論アイツらも同じく成長していく訳で、最初に男の子なんだなって思った出来言がこれ。
彼らが中学に上がってからの話。
「あ、ナス子姉。今学校の帰り?」
「ん、あぁ……えーと~~松!」
「……一松だよ! 母さんといいナス子姉といい皆といい全然見分けられないよね」
急に声かけられても顔見ると余計に誰が誰だか……な、私。
でも今日はなんだか雰囲気が違う。
「うん、部活で遅くなっちゃったから。ねぇ、一松風邪でも引いてるの?」
「え、風邪なんて引いてないよ。母さんが言うには声変わりってやつだってさ、皆も同じ感じで声が変だったし」
「声変わり?! …………だからそんな擦れた声してるんだね」
「変かな?」
顔は見慣れてるのに、声が擦れて低くなってちょっと違和感。
「変じゃないよ、そっかぁ。そうだよね、一松も男子だもんね」
「?」
女は大きく声変わりはしないから、この時は本当にびっくりしたのと同時に、男の子だなぁと改めて思った。
年齢差の所為か、この六つ子達が私と同じように成長していくんだなって感心までしてしまう。
「最近部活忙しくて遊べてなかったから気づかなかったなぁ。他の皆の声も聞きにいかなきゃ!!」
「別に聞かせる程のものじゃないよ、ふふ」
「そうかなぁ? 弟の成長をお姉ちゃんも見守らないと!!」
「じゃあ今から家来る? 僕は頼まれた買い物終わって帰る所だし」
一松が持っていたスーパーの袋を見せて、自分が今しがた終わった用事を教えてくれる。
結構袋は重そうなのに普通に持ってる所もなんだか変な感じ。
「行く行く! あ、片っぽ持つから袋貸して」
「え、いいよ別にこんなの」
「いいからいいから~」
この辺りからかな、姿で判別は出来ないけど声で判別が出来るようになったのは。
松野家に行ったらやっぱり皆の声は擦れてて驚いたけど、月日が経つにつれて声も落ち着いて私が知っていた声よりも大人みたいな、知ってるけど知らない声に成長した弟達。
ついでに言うとコイツらが中学に入って背が伸びたもんだから私の身長は軽々抜かれてしまった。
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