第103章 【リク作品】【逆ハ卒業ルート】六つ子と私:(過去編)あの頃
頭を優しく撫でてくれる松代さんの大きな手にホっとして、肩の力が抜ける。
やっと普通に笑顔が作れて、返事をして家に戻って行った。
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と、その事件? があった辺りから私は少しだけ今までより六つ子と距離をとった。
事件なんて言い方はあれだけど、当時の自分的には事件だったかな。
遊ぶには遊んだし、プールにだって行ったりもするけど、一緒に当然のように入ってたお風呂にはもう入る事をやめた。
自分に生理がきたという事すらも知られるのが恥ずかしくて、その周期は絶対に一緒に遊ばなかった。
向こうは生理ってものを知らなくても私がなんだか恥ずかしいから。
どんなに年下でも男の子は男の子、と思ったからだ。
「ねー、ナス子姉さん今日は泊まってくんだよね?」
「うん、お泊りしてくよー!」
「じゃあ今日は一緒にお風呂に━━━━━━━━━」
「入りませ~ん!! 私はもう大人に近づいた女子なのでっ」
「大人に近づいた女子? 何それぇ? なんにも変わってないじゃん」
「うん、変わってない。おっぱいもちっさいし」
「背だって変わってないよね、僕達よりは高いけど」
「どこが大人なの?」
誰がどれを話しているか、誰か想像は出来るのだろうか。
ちなみに私はわからない。
いう事すらいっつも似てるからなぁ。
寧ろこの六つ子は六つ子だけにしか見分けられないんじゃないかね?
「姉さん、僕たちの事嫌いになっちゃったの?」
あ、これはわかる。
ちょっと寂しそうな顔で私の袖を引っ張るのは、十四松だ。
表情と接し方でピンときた。
「十四松、そんな事ないよ?」
「じゃあなんで遊ぶ回数減ったんだよ? ナス子姉いないとイジメ甲斐なくてつまんない」
そしてこの横暴な態度をとるのはチョロ松だな。多分。
イジメ甲斐とか、そんな年齢でいつ覚えた言葉なのって今更ながら思うわぁ。