第14章 六つ子が気持ちよくなる薬を私が飲まされました 六つ子と私
<チョロ松side>
僕らが企てた作戦とは言え変な空気になってきた。
と、言うかナス子姉の顔がもう鬼だ、般若だ。呪われるぞコレ。
解毒剤も本当に持ってないんだけど、コレそろそろ何の薬かちゃんと話した方がいいんじゃないの?!
このままだと暫く口も聞いてくれなくなるんじゃ・・・。
「放しなさい十四松!いくらめちゃくそ可愛くて頬ずりしたくなるようなピカピカフェイスをしているアンタでも容赦しないんだからねっ!大好きだけど、マジブッコロスーーーー!」
「怖いよナス子姉ー」
十四松の手から逃れたいナス子は仕方なく両足をバタバタさせたり体を動かしたりと目いっぱい抵抗している。
捕らわれた宇宙人かな?
いやいやいやいや、今はそんな冗談言ってる場合じゃ…
「き、嫌いになるから・・・ならないけど!!大好きだけどっ、なる!」
「えー!」
嫌いという本音に動揺した十四松がやっと手を放す。
ナス子はまた貝のように口を噤み、両手で強く自分の口を押えた。
あーあ、まただんまりモードだよ。
ちょっと可哀想だったしそろそろ解放してあげてもいいんじゃない?
「ね、姉さんゴメン!嫌いにならないでほしいなー」
慌てて、ナス子の顔を十四松が覗き込んでいるがナス子は十四松と目を合わせない。
珍しいな、十四松にはあんなにいつも甘いのに。
これは相当お怒りってわけだ。
「ね、ねぇ皆・・・そろそろナス子を家に帰し・・」
「みんな~ぁ、ビール持ってきたよぉ~」
うわぁ、いつの間に部屋から出てたんだおそ松兄さん。
全然気づかなかったよ。
両手に7本のビールを抱えて足で襖を乱暴に開けて戻ってきた。
「・・・ナス子、飲めないよね?やめときなよ」
うん、一松も言ってるけどコイツ酒弱いよね。
就職してから全然一緒に飲んですらないし、前よりも弱くなってるかも・・・?
「・・・・・・・・飲む!!!!!!!」
え?!ナス子姉何言ってんの?!!
「もう酒の力を借りないと、私は君たち六つ子の魅力にメロメロになりすぎてしまってやっていけない・・・あーもー!いいから貸してっっ」
言うと、おそ松兄さんから乱暴に一本ビールを奪うナス子。
すぐさま蓋をあけてゴクゴクと飲みだした。