第101章 【逆ハールート:短編】彼らの場合
「あぁ、我が安寧の地……しまむ~〇!!」
「そこまで言っちゃう?! ま、価格的にも手ごろだし掘り出し物があるにはあるもんね、たまには」
二人店に入ると、最初に下着コーナーに行き、適当に下着を選ぼうとした……が、付き合う前の時と同じでトド松は勝手にひょいひょいとナス子に身に着けたいものを選んで行く。
「おいいい、私だって選びたいのに! 腹巻もいいなぁ」
「ダ~メ、今日は下着と服を買って帰ろう? あ、ついでにナス子姉に似合う服も見繕ってくるからさ、ナス子姉は好きな所回っててよ♪ お洒落はぼく担当だもんねぇ」
それはその通りだ、自分がおめかししたい時はだいたいトド松に頼み、コーディネートやら服を一緒に買いに行ってもらっている。
故に、半分トド松の好みに近い服になっている気もしたが、今の所他の兄弟は口出ししないのでいいとする。
小一時間程経った後、さすがに色々回って疲れたナス子はべんちに座ってゲームを始めていた。
「あ、こんな所で休憩してるの? 全く、外出しても残念姉さんなんだからぁ」
「トド松、カゴの中に何かいっぱい服が……」
「ああ、これくらいあれば暫くはナス子姉も服や下着に困らないでしょ? ちゃんと値段も見て買ってるし……凄いよね、こんなに買っても1万いかないんだよ」
「うむ、そこがこの店のいい所なのだよトド松君!」
グっと親指出しサインすると、トド松はナス子に手を出す。
「疲れてるんでしょ? 財布貸してくれれば会計してくるけど?」
「ほんとー?! レジ混んでるしありがたい~はいっ、財布。宜しくトッティ!!」
「ふふん、ぼくは彼女には優しい男の子だからね♪」
なんの躊躇もなくトド松に財布を渡し、自分はゆっくりゲームをして待つ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん、待てよ?
トド松はあのクソ連中の一人だ。
財布を渡したら何か嫌な予感しか浮かばない。