第101章 【逆ハールート:短編】彼らの場合
そんなこんなで結局トド松と買い物行かなくてはいけなくなったナス子。
嫌だ嫌だとダダをこねても、まさかの松代まで女の子らしい下着は可愛いいのがいいだの、どうの言って来た始末。
将来の義理の母……という事になる予定の相手にそこまで言われたらいかない訳にもいかない。
「じゃあどこ行くナス子姉? いつものモールにする?」
「あ~……そこはちょっと精神的にキツイし今の私の恰好じゃ入る勇気がないよ」
浅く息を吐くナス子はあのあとすぐにトド松に連行された為今日も服装はダサパーカー。
よくトド松に着替えろとか化粧しろとか怒られなかったものだ。
「んー、そうだよね。今日はいつにも増してダサい恰好だもんなぁ……そうだ!! じゃあさ、姉さん御用達しのしま〇ら行っちゃう?」
「え、いいの?!」
しまむ〇なら欲しい服や下着があったりするとよく行くお店だ。
自分はしまらーである。
「本当はもっとお洒落なお店も行きたかったけどさぁ、仕方ないよね。それにその恰好の彼女をあんなお洒落なモールで連れてくっていうのがまたぼく自身の精神が減るって言うの?」
「彼女に言う台詞とは到底思えないぞお前、コノヤロウ」
ブーブー文句を言ってもトド松の辛口はいつもと同じで変わらない。
「それにさ、しま〇らなら下着もあるし服もある。ついでにメンズ服もあるしぼくも珍しく見てみよっかなぁ」
あぁ、そう言われるといいかもしれない。
一つのコーナーがあるお店に入るより、効率的な感じもしてきたナス子は、あんなに面倒がっていたのにも関わらずポンと手包みをうちトド松の背中を叩く。
「ドライモンスターの癖にたまにはいい事言うじゃ~ん!」
「いったぁ! もう、ナス子姉はいっつも乱暴なんだからさ。そうと決まれば行くよー」
「はいよー」
トド松に手を伸ばされてそれを握る。
恥ずかしい恰好だとかダサイとか言う癖に手は繋いでくれるんだなと思うとニヤリとしてしまう。
言葉に似合わずトド松は若干ツンデレな気がする。