第101章 【逆ハールート:短編】彼らの場合
けども、そんなナス子に発情し、すぐ手を出すコイツら。
しかもトド松だって脱がせちゃえば変わらないと言いながら襲ってくる事だってあるのに何を今更と思ってしまう。
「姉さんがダッサイのは今に始まった事じゃないでしょ、トド松」
「十四松~?」
「あ、えーとね! 大丈夫だよ姉さん、服だってダサイから!! 元気だして」
「でるかっ!!」
憤慨してソファに胡坐を掻いて座るナス子にトド松が目の前まで近づいてくると、殺人者のような視線で目の前の相手を捉えるゴルゴナス子。
「ナス子姉、今から買い物に行こう」
「やだ」
「なんで?! いいの? この家に住む女の子があんなにダサイ下着を着てるって通りすがりの人は思ってるんだよ?! しかも……もしも、もしもだよ? うちに下着泥棒が押し入ったとしても、ナス子姉の下着だけ盗まれないとか悲しい事もあるかもしれないんだよ、ねぇ!」
「どういう理屈なのそれ?! そもそも下着盗まれたいとか思わないし」
抵抗するナス子は聞く耳を持たない。
だがトド松は他の兄達がポンコツでちょろい事を知っている。
「他の皆はどうなの? 姉さんの下着についてさぁ」
「え、それ聞いちゃう? 俺達に聞いちゃうトッティ?」
「当たり前でしょ、彼氏なんだから!!」
すぐ口車に乗せられる楽勝な兄弟達の方向に向き直り、トド松はどこから持ってきたかわからないホワイトボードを取り出す。
ホワイトボードには、ナス子らしきイラストが二つ全裸で書かれており、当の本人はまた何か始まったと面倒臭くもそれを見ている。
「いーい? よく聞いて皆。先に書くよ? 今のナス子姉の下着がコレ……ちゃんとしてるってか守りが硬いって言うかポカポカ? お腹まで上げられるヤツね。そんで色はグレー。飾り気もない。そしてこれも見ちゃったんだけど、肌着ね? ただのキャミ。ただのグレー。ただ、何かインナー着ればいっかなぁ? みたいな恰好」
説明を受けても、何が悪いのか全くわからないが、他の兄弟はおおっと何かを納得したようなしていないような雰囲気で声を上げる。