第101章 【逆ハールート:短編】彼らの場合
【トド松の場合】
「大変だよ皆!!」
六つ子の部屋で寛ぐ六人は、勢い良く開いた襖と急遽帰宅したトド松にびっくりして一気に視線が彼にうつる。
「なんだよトド松ぅ、急に帰ってきたと思ったらどったの?」
孫の手で背中を掻いているおそ松が寝転がったまま返事をして、他のメンバーもその答えを待ってトド松を見ていた。
「今ね、洗濯場を外から見たんだ………そしたら」
いきなり洗濯の話で何かと思うが、全員首を傾げて目を合わせる。
「ダサイんだ…………とってもとってもとっても……」
「あー、ダサイとは何の事だトド松?」
挙手したカラ松が?マークを浮かべてトド松に質問をすると、トド松はギュっと両こぶしを握り、ソファでゲームしていたナス子に指を差す。
「ナス子姉の下着が……もんのすっごーーーーーーく、ダサイんだよ! 色気もない、可愛くもない、無難と言うよりおばちゃんパンツみたいな!!」
「おい! 人の下着を見ておいて今更それはなくないかお前ぇ!!」
まさか自分の事とは思わず半ば半分に聞いていたのに、急にご指名をくらいゲームを中断し起き上がるナス子。
「だって、見ちゃったんだもん。誰が干したかわからないけど一番見える所に干してあって……これじゃあ僕達に彼女がいても、同棲しててもダサイ彼女って思われちゃうよ!! あぁっ……恥ずかしくて外に出れないーー!!」
「凄い言われようだなナス子」
「チョロ松、アイツ殺していい?」
「いいんじゃない? 一人いなくなった所で変わらないよ……、俺はお前の下着がダサイとか気になった事ないし。手伝おうか?」
「え、ナス子、一松落ち着けって!! 急にダサイとか言われたらそりゃムカつくけど相手はドライで心臓もない末っ子だぞ?! しかも何でそこで僕に殺人許可を取ろうとするか謎なんだけどっ?」
ナス子の普段の下着は正直ダサイ。
それは昔から変わらない、ただ大事な所を守ってついでにお腹も守ってくれればいいと大きめのおばちゃんのような下着を履いている。