第101章 【逆ハールート:短編】彼らの場合
「なに? 貸さないし買わないし松代さんに頼んでもあげないよ」
「いや、バイクは今は潔く諦めよう……俺は決めたぜ……そこまで言うなら働こうじゃないか……!」
お? と、予想していた言葉とは違った言葉が返ってきたことにナス子は顔を上げる。
相変わらずクソみたいな顔をしているが、働くと言ったことには好感が持てるので今はスルーしてあげることにした。
「偉いカラ松! あ、そういうことなら短期で時給のいいバイト一緒に探す? スマホでも見れるけど、パソコン持ってこようか?」
「いや……必要ない……」
「え? あ、もしかしてもう当てがあるとか?」
「ああ……」
頭を押えながら何故かこちらに歩いてくるカラ松に、ナス子は首を傾げる?
「なに?」
「バイト先は……ここだ……ナス子、俺がこの身体を使って……お前を満足させる度に……俺に1000円貸してくれ……! 俺はそれを100倍に増やして見せるぜぇ」
クイっと顎を掴んでクソキメ顔でウィンクを飛ばされるナス子。
先程まで偉いと感心度が上がっていた分ココに来てのこの台詞は思わず顔が7話Aパートのトッティの表情になる。
「バカラ松が…………退場!!」
「え? ッア─────────────!!」
やっぱりろくでもなかった。
そして思考がおそ松と一緒。この六つ子の長男次男は本当に、ホンットーにろくでもない。
どこから現れたのか(以下略)紐をひっぱると、カラ松が立っていたところの床が抜け、奈落の底へと落ちていった。
ナス子は晴れ晴れとした表情で、またも大好きなゲームへと視線を戻すのであった。