第101章 【逆ハールート:短編】彼らの場合
【カラ松の場合】
「なぁシスター……実は相談があるんだが……」
「お金を貸してくれ以外の相談なら聞いてあげないこともないけど」
「NO! WHY?!」
普段は青いパーカーか青いツナギを着ている次男だが、今日は彼の勝負服と思われる服装で現れた。黒い革ジャンはまだ許せる……いや、やっぱり許せないな。背中にドクロを背負ってる限り。
それよりも絶対に看過出来ないのはボトムスだが。
「ねぇカラ松、気づいてる?」
「え? 何にだ?」
「アンタが私にお金を貸して欲しい時ってね……必ずそのギラッギラのズボンを履いてくるんだよねー! 眩しくて目がイタイしアバラも痛いわ慣れないわぁ!」
そう、これを着てくればナス子は俺にイチコロだぜぇ……とでも思っているのか、お金の催促の時には必ずと言っていいほどスパンコールのズボンを履いてくる。
そして私をシスターと呼んで急に姉扱いしてくる。
これはカラ松だけでなく他の連中もそうだが。
「い、いや……少しでも俺の魅力で金を借りられる確率を上げようとしていたんだが……」
「それ自分で行っちゃう? て言うか、その服装してきて確率が上がった時ってあったの? もしカラ松の記憶の中であったのなら過去の私は何を考えていたんだろうね?」
正直服装とかどうでもいい。
問題は、何故お金を借りたいのか、何に使うのか、そこだ。
「これは一応聞いてあげるんだけど、何に使うの?」
「ふっ……よくぞ聞いてくれたシスター! これを見てくれ……!」
「なにこれ? 雑誌の切り抜き?」
カラ松がポーズを決めながら渡してきた紙を受け取りそれを見ると、なんだかゴツイ大型バイクにくっきりハッキリと赤い油性ペンで大きく丸をつけてある。