第101章 【逆ハールート:短編】彼らの場合
言われて喜ぶ十四松にお札を取り出し渡すと喜びで飛び上がる彼。
やはり危機回避と言えど自分は十四松に甘いなどと思ってしまう。
喜ぶ姿がまた可愛くて、つい吹き出してしまったが、その口を十四松が唐突に塞ぐ。
「んっ……!! ん゛ーっ」
思いっきり押し当てられた唇はすぐに離れる事はなく、力強い腕に抱かれた、その場に倒れてそれを吸われる。
急すぎる愛情表現についつい息をするのを忘れ、ジタバタと暴れると、チュポンっと言う音を立ててやっと呼吸ができるようになった。
眼に映るのは目一杯に嬉しそうな彼の姿、だがしかしナス子はそれどころじゃない。
ぜぇはぁと息を吐いたり吸ったり忙しい中、ナス子は涙目で彼を見上げたが、しかし何故か叱ろうと思えない。
それは多分相手が無邪気な十四松だからだろう。
どちらかと言うと、仕方ないなぁと呆れ息を吐いてしまう。
六つ子は誰一人としてマトモではなくクソなのだが……。
やはり一人一人顔は同じでも人格がある訳で、対応が変わってしまっても仕方がない……。