第101章 【逆ハールート:短編】彼らの場合
「〜〜〜〜〜いってええぇっ、俺彼氏だよ?! 普通好きな相手にこんな事するぅ?」
「それこそ彼女の財布を勝手にとるとかするぅ?! お金はやっぱ貸さない!」
「は!? ちょ、ちょっと待ってよナス子姉っ、マジで今回は出る予感しかしないんだって!! 絶対勝つからっ」
「なんで賭け事にお金貸さなきゃなんないの、それならゲームで課金した方が断然いいし!」
「俺スマホ持ってないし!」
「アンタが課金するんじゃなくて私が2千円分課金するって事だから」
「俺の金っ」
「私の金だからっ」
「「 ………… 」」
やはり、長く付き合っても同棲しても喧嘩は相変わらずである。
二人が無言で睨み合う中、突如おそ松が何かを閃き手鼓を打つ。
「いい事思いついたぁ!!」
「どうせロクでもない事でしょ、わかってるんだから」
そう言ったおそ松が急にナス子を壁に追い詰め、いわゆる壁ドンなる事をする。
トキめきフラグパターンなのに、やられている本人は嫌な予感しかしない。
「先に身体で払うってどう!? 俺の身体、2千円でサービスしちゃうっ」
「はあああああぁ?! 身体で払うって、や……待って、おい!!ズボンに手をかけないでよ」
「大丈夫大丈夫、2千円以上の価値を払ってやるからさぁ、俺ってばやっさし〜ぃ彼氏だ・か・ら」
急に声のトーンが変わってしたり顔の彼に耳元で囁かれる。
ゾクリと不覚にも身体が震えて今すぐに逃げなきゃいけない状況なのに、両腕と両足に挟まれて動けない。
「いや、あのちょと? 待っ……待っ……アーーーーーーーーーーッ」
その後……おそ松曰く2千円以上のサービスをされ、畳に素っ裸で転がるナス子は起き上がる事も出来ず恨めし気につぶやく。
勿論、2千円は許可なく持っていかれた。
「おそ松……殺す」
結局、パチンコで負けたおそ松から2千円は返ってくる訳もなく、むしろこっちが身体をサービスさせられたようなものだった。
暫く、長男おそ松はことごとくナス子に無視されたり冷たくされたのだが、それは自業自得である。
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