第101章 【逆ハールート:短編】彼らの場合
「おそ松、正座!」
「はぁ?! なんでっ、俺はただ金を借りに……」
「せ・い・ざ!!」
プンスカと怒るナス子にブーたれた顔をするおそ松だったが、一応言われた通り目の前に正座する。
「あのね、いつも言ってるでしょ? ゲーム中は邪魔しないっ」
「んな事言ったってさ〜、いつもゲームしてんじゃん! いつ話しかければいいんだよっ」
「そ、それもそうなんですけど……でも、今はやらなきゃいけないミッションがあるの! 邪魔しないっ」
怒られてもメゲる事がない、それがこの男。
ブー垂れた顔はそのままに床に寝転がってしまう。
「なにしてんの?」
「えー、ゲームの邪魔しなきゃいいんだろ? じゃあゲーム終わるの待ってるから終わったら起こしてー」
「…………意地でも金を借りていくつもりだなお前は」
「ぴゅ〜ぴゅ〜♪」
「口笛で誤魔化してもムダだからね?」
・・・
「なぁ、終わった?」
「…………」
「なぁなぁ、終わったぁ?」
「…………」
「なぁ、ナス子〜」
「ぬああああああぁ、集中できっ……なあああああぁい!!!」
おそ松を空気だと思ってゲームの続きをしている中、何度も話しかけられて気が散る。
しかも目の前に何度も顔を出すもんだから目に入って結局動く空気、見える空気だ。