第101章 【逆ハールート:短編】彼らの場合
【おそ松の場合】
「ナス子……いや!! ナス子姉さんっ、金貸してっ」
「だが断る」
こう前置きもなく堂々と言い放つのはおそ松。
彼女相手でも六つ子はお金を借りるときは共通なのか姉呼ばわりになるのは最早昔ながらの癖だろう。
「えー! なんでっ、ちょっとだけ、ちーっとばかしでいいんだよ?! しかも貸してくれたら倍で返すからさぁ、なぁ頼むよぉ」
「服を引っ張るなー!! 伸びるっ」
「服なんて今まで気にした事もないくせにぃ」
ノックなく部屋に飛び込んできたと思ったらこの調子だ。
寝転がってゲームをしているナス子に遠慮などする事はなく、服を引っ張り起き上がらせてしまった。
「あっ、ちょっと! ちょっと待っ……ああああぁ、スコアが!! あと少しで達成出来たのに」
「今はゲームなんかより俺が話してる!!」
キリリとした顔でそう言われ、青筋が出来そうになる。
何度も経験しているがゲームを邪魔される事と寝ている時に起こされるのだけは未だに許せない。