第2章 平穏な日々に嵐はやってくる~カラ松~
数歩引いてカラ松の顔色を伺うが、何をしてくるわけでなく鼻歌交じりにテンポよく畳みはじめる。
表情はニコニコしていて、贔屓めに見なくても殺したいとは思ってなさそうだ。
「いやぁ、ナス子姉とアイツらは違うからな」
と、言われるとなんとなく特別感を感じてまんざらでもない私は、そのままカラ松に鍵を預ける事にした。
私にデメリットしかないおそ松に持たせるのは嫌だけど、メリットが多いカラ松にならまぁいいだろう。
そんなことを思いながら、カラ松と一緒に洗濯物を畳み、服をクローゼットに仕舞った。
「よーし、やっと片付いた! ありがと、カラ松」
「ちゃんとこまめに洗濯はしたほうがいいぞ」
「んー、まぁ努力はする。さて、じゃ、そろそろ帰ったほうがいいよ」
「え・・・?」
リビングにかけられていたカラ松のクソダサイ服をハンガーからはずし簡単に畳みカラ松に手渡す。
「? もうやることは終わったでしょ? そろそろ夕飯の時間だし、松代さんに怒られるよ~」
ちょっと強引だが仕方ない、私は私でやりたいこともあるし、夕飯の時間が近いのは事実だ。
なんとなく渋る空気を醸し出すカラ松の背中を玄関まで押す。
「あ、そうだ、鍵。念を押しておくけど! カラ松が持っててね、他の兄弟には渡しちゃダメだからね? しつこいようだけどとくに悪松、じゃない、おそ松!」
「わ、わかった」
「うん。じゃあまたね~」