第2章 平穏な日々に嵐はやってくる~カラ松~
「いくら幼馴染の家でも無断で入るのはよくなかったな、悪かった」
なにも手こずる訳でなく、あっさりと快く引き受けてくれるのがカラ松のいい所だ。
「しかし、女性の一人暮らしとなるとやはり危ないんじゃないか?何かあった時の為にオレたちが持っていた方が…」
便利とかそういう問題でなく、一人の女性として扱ってもらえた事に少しキュンとした。
職場スタッフ間でも男性にいじられ女性扱いされないし!私を女性と言って接してもらえると慣れないけど純粋に嬉しいものだ。
「まぁ・・・カラ松ならなんもしないし、洗濯やってくれるし(ここがでかい)家事もやってくれるし、持っててくれてもいいような気がしてきたかも・・・」
「ほ、ほんとか?!」
「うん、変なのはそこのハンガーの服だけだし」
「え・・・?」
「お互い一ミリたりとも男女の関係に走る事だけは絶対ないし」
「オレだけ、特別?」
なんだか期待の眼差しで見上げられている。
まるで子犬のようだ。
兄弟達のカラ松への扱いも知っているからこそカラ松にはちょっと優しくなってしまう。
「まぁ、おそ松や他のヤツに渡さないなら持っててもいいよ」
「っ、ナス子姉~」
あ、泣きそうだ。
頭をヨシヨシして上げると気持ちよさそうにしながら照れ臭そうに笑顔が零れた。
「た・だ・し、条件がある」
「条件?」
こちらを一遍に見つめポカンと口を開くカラ松。
「ま、また洗濯やってくれませんか…、カラ松兄さん」
年上の私から兄さんと呼ばれパアと笑顔満載になる。後ろに花が咲いてるようだ。
「も、勿論だ! オレにできる事があれば何でも言ってくれシスター!」
あー、カラ松はチョロぃ…カラ松なのにちょろ松・・・いや、ややこしいわ。
本当にいいヤツだなぁ。ちょろくて・・・
「ではこのぐしゃぐしゃになった洗濯物でももう一度畳み直そうか」
私が先ほどグチャグチャにした洗濯を一枚一枚とるとまたテキパキと洗濯を畳んでくれる。
主夫みたいだ。
「兄弟から頼まれる事が多くてな、たまに殺したいと思うがつい引き受けてしまうんだ」
「え、私の事も殺したい?!」