第100章 【リク作品】【R18】触らぬ神に……(2.3男)
「はー、お腹いっぱいだねー……ブッフェっていっつも食べ過ぎちゃうから気を付けようと思ってたのに……もうアイスしか入らないわぁ」
「アイスは入るんかい。デザートたらふく食べてたよね?」
部屋に戻ってソファにぐてっとだらしなく腰をかける。
美味しい食べ物というのはかくも人間を幸せにするものか。
ディナーの予約の時間もあって、まだ時刻は19時すぎ。
寝るまで十分ゆっくりできそうだ。
ソファでダラけていると、どこから持ってきたのかカラ松がホットコーヒーを差し出してくる。
ディナーの最後に時間がなくてゆっくり飲めなかったので嬉しい。
「ありがと。どしたの? これ。近くに自販機なんてあったっけ?」
「いや、あっちにエスプレッソマシーンがあったから淹れて来た」
「マジか……」
さすがは以下略。
エスプレッソマシーンだって部屋においてある。
今まで気づかなかったが、ふと見るとウォーターサーバーまで備え付けられている。
「一泊で家賃並みの料金とるところはやはり違うわ……いつでもこんなところに泊まりにこれたら人生薔薇色なのになぁ」
カラ松から受け取った紙コップで両手を温めながらそんなことをボヤく。そのボヤきにカラ松が短く笑い声をもらし、わしゃわしゃとナス子の頭を撫でる。
「たまに来るから贅沢さがわかるんだろう」
「そりゃもちろんそうなんだけどさぁーあー、エスプレッソマシーン欲しくなっちゃうなぁ」
口の中に心地よい苦みと酸味が広がり、コーヒーの匂いに包まれるとまた幸せを感じる。
今日は幸せを感じてばかりの一日だ。
それもそのはず、誰だってそう感じるはずだ。
もちろん、贅沢をしているからだけではない。
二人と一緒にいるから。ここが一番重要だった。