第100章 【リク作品】【R18】触らぬ神に……(2.3男)
「あっ! カラ松それ美味しそうっ、どこにあった?」
「そっちの二段目の奥にあったぞ。なんなら、俺がナス子の分も持っていってやる。まだ色々見たいんだろ?」
「ありがとー! うん、そうなの。まだ持てるし!」
「転ぶなよ」
「子供じゃないんだから転びませんっ」
そんなドジっ子今時流行らない。そんなものはセーラー服の戦士に変身した実はやんごとなき身分の人だった金髪のおだんごだけで充分だ。
すれ違う人のお皿の中身をチラリとさり気なく盗み見たりして、気になったものを探すだけの楽しくて楽しいお仕事。
シェフが目の前で仕上げの調理をしてくれるライブキッチンのスペースも広く、オーブン料理から麺料理、お寿司、デザートと出来立ての料理が味わえるようだ。
「すみません、3人前ください!」
おそらくこのブッフェの目玉なのだろう、大きな牛モモ肉のローストビーフの厚切りを三人前持って席へと戻る。
テーブルには所狭しと三人が持ってきた料理が並び、何人前かわからない量だ。
三人は席に着くと、グラスを手に取り軽く掲げ、乾杯の音頭を取る。
「初めはどうなることかと思ったけど、今は来てよかったなって心から思ってますっ、チョロちゃんありがとう! にゃーちゃんのスペシャルライブチケット当たりますようにっ! かんぱーい」
「「 かんぱーい 」」
キン、と心地よい音を立てたグラスを口へと運ぶ。
ナス子の意向により、お酒は締めに入ってからと制限されてしまい、三人ともジュースである。
「ジュースで乾杯なんて味気ないなぁ、せめてビールとかさぁ」
「ダーメ! アンタ達酔うと何するかわかんないしっ、せっかく美味しい料理がいっぱいあるんだから、酔って味もわからなくなったら勿体ないでしょ?」
「フフン、俺はちょっとやそっとじゃ酔ったりしないぜぇ~? もっとも、ナス子……お前の魅力にはすっかり酔いっぱなしの俺……だがな……!」
「いただきまーす、んん~~っ、美味しい~!」
「んん~?」
カラ松はおそらく六つ子の中でも酒が強い方ではない。
たまにウイスキーだと言いながら飲んでいるのも麦茶だし、カラ松自身も酒には強くないと自覚はあるのだと思う。