第100章 【リク作品】【R18】触らぬ神に……(2.3男)
ディナーはブッフェ式で、大勢の宿泊客が美味しい料理で腹を満たそうとやってきていた。
大きなリゾートホテルの為客室も多く、自然と宿泊客も多くなる。
旅館のような部屋食ならいざしらず、ブッフェ式は好きな物を好きな量食べられるのが魅力だが、大勢の人がいっぺんに集まるとどうしても少々ガヤガヤしくなるのは否めない。
「わー、結構人いるね、席空いてるかなぁ?」
ナス子がそうボヤくと、チョロ松がブッフェルームの入り口にいたスタッフに一枚の紙を渡し、そのままそのスタッフに席まで案内された。
「え、え? なに? 予約席?」
「っていうか、この時間にこの紙を持ってここにーってフロントで言われたからなんだけどね。多分いっぺんに宿泊客が殺到しないように時間を少しずつズラしてるんじゃない?」
「なるほど……! 制限時間とかあるの? なるべくゆっくり食べたいなぁ、どれもこれも美味しそうだったし」
「100分だね。それだけあれば十分だろ? 100分食べ続けるなんて絶対無理だし」
「それもそうだ。よーしっ! じゃあ食べるぞー! 全種類食べるー!」
色とりどりに用意された料理たちに、どれを食べようか目移りしてしまう。
こういうところに来ると、オレンジジュースでさえメッチャいいオレンジジュースなんだろうなぁとか根拠も何もないわけのわからない発想をしてしまうのが庶民というもの。
野菜にしても何にしても、なんか……輝いている。
思春期の男子が、初めて出来た彼女の部屋に招待されて女の子の部屋ってどうしてこんなに可愛いんだろうと、たいして可愛くもない普通の部屋でもカーテンがピンクだとか花柄だとか、制服が壁にかけてあるだとかそういう大したこともない事で思ってしまう心理と似ている。
いい匂いなどしないのにいい匂いがするような気がする、みたいな。