第100章 【リク作品】【R18】触らぬ神に……(2.3男)
「なに?」
「半露天風呂だ。しかも結構広いぞ。ビーチチェアまで置いてある」
「ひえええええええええ!」
「高かったもんなぁこの部屋……まぁ一番安い部屋は空いてなかったから仕方ないんだけどさ。やっぱ金は出せば出すほどって感じだよね」
チョロ松のボヤキも今のナス子にはまったく聞こえていない。
半露天風呂はその名の通り、半分だけ屋根があり、後の半分は空が見えるようになっている空間なのだが、それだけではなく、シャレオツなベランダにはこれまたシャレオツな木のビーチチェアが二台並べられており、ご丁寧にサイドテーブルまで置かれている。
露天風呂自体も大人が5~6人は余裕を持って入れそうなほど広く、一人で入った日には泳ぐことも出来そうだ。
「チョ……チョロ松さん……つかぬことを御伺い致しますが……ここ……一体一泊おいくらなのでしょう……?」
部屋の中を見れば見る程怖くなってきてしまった。
それが庶民の感覚というものだ。
それくらい部屋は豪華で、とても1万や2万で泊まれるとは思えない。
一応社会人として自分一人が暮らしていくに困らないほどの収入はあるが、突然の大きな出費にはやはり怯えてしまう。
「一人一泊7万くらいだよ」
「ナ゛っ……!?」
4,5万くらいかなー……と思っていたその上を来た。
一泊7万の宿なんて泊まったことがない。
むしろ家賃? 家賃なの? という値段。それを一泊で。
上がりっぱなしだったハイなテンションがローローと下がって行く。
チョロ松が勝手にやったこととはいえ、ニートなこいつらに払わせる訳はいかないよなぁ……と考えるのが癖になっているナス子。
一応クレジットカードやキャッシュカードを持ってきてはいるが、7万掛ける3人で合計21万。
しかも多分それは最低金額であり、リゾート内で受けられるもろもろのサービスは別料金である可能性が高い。
さすがにそれは無理。無理だ。貯金がないわけではないが無理だ。痛すぎる。カラ松の痛さなど屁にもならない痛さ。
値段を聞いて言葉を発することも出来ず固まってしまったナス子に、あっけらかんとチョロ松が答える。