第100章 【リク作品】【R18】触らぬ神に……(2.3男)
「片付け終わったの? 早くない?」
「んー? 床は綺麗になったよ」
「まったく……ホントにしょうがないなナス子は! 僕も手伝うから、ちゃっちゃと終わらせるよ」
「了解です! 上官!」
ビシっと敬礼をして台所へとパタパタと足早に向かうナス子の背中を見ながら、溜息と同時に笑みが漏れる。
さっきまでムカムカイライラして、とても笑顔なんて作れる気分ではなかったのだが、ナス子にしてやられてしまった。
八つ当たりとわかっていてキツイ言い方をしたことを謝ろうかとも思ったが、やめておいた。
洗面所から戻って来たカラ松が、そんなチョロ松の様子を見て何かを感じたのか、お互いの目が合うとチョロ松に向かってニッと意地の悪い笑みを見せる。
「ナス子に甘いのは、俺だけじゃないと思うがな」
「うるさいな……今更だろうが、そんなこと」
「ふふっ、そうだな」
三人で本気になって取り掛かれば片付けなどはなんのその。
あっという間に部屋は綺麗になり、洗面所からゴウンゴウンと洗濯機が回る音をBGMに、三人はテーブルにつき暖かいコーヒーにありついていた。
「今日もコーヒーが美味しい~……いやぁ、片付いた部屋で飲むコーヒーは格別ですなぁ」
「いつも綺麗にしていればいつでもこの味だぞ」
「ノンノン、そうじゃないんだなぁカラ松。散らかっている時を知ってないとこの味はわからないんだなぁコレが」
「それは部屋を散らかしていい理由には全然ならないからな」
そんな他愛もない会話をする中、なんともなしに付けたテレビから流れるCMに目をやる。
一番釘付けになったのはチョロ松で、思わずコーヒーを持ち上げたままの状態で止まってしまった。