第100章 【リク作品】【R18】触らぬ神に……(2.3男)
その様子を見たチョロ松は溜息を一つつき、しばらくしていなかったのであろう空気の入れ替えをしようと窓を開け、拭き込んで来る気持ちのいい風に少しだけ気分が良くなった。
窓の外を眺めているチョロ松の背中を見ながら、片付けを手伝い始めたカラ松にナス子が耳打ちをする。
「ねぇちょっと、なんか今日チョロ松機嫌悪くない?」
「ああ、実は朝からああなんだ。皆触らぬ神に祟りなしという感じでチョロ松を避けて出かけて行ってしまってな」
「ふぅん……なんだろう、何かあったのかな? カラ松知ってる?」
「ここにくる道中、ライブのチケットが取れなかったと言っていたぞ。どうやら前から金を貯めていてどうしても行きたかったライブだったらしい」
「あー、なるほど……それでご機嫌ナナメなのか、納得。要するに半分八つ当たりってことね」
「まぁ、そうなるな」
とりあえず床を綺麗にして、洗う服を洗濯カゴにまとめてカラ松が洗面所に持っていってくれている間に、ナス子はフローリングワイパーでスイ~っと床を拭く。
まだまだ朝晩は冷える日もあるが、日中は大分暖かくなって過ごしやすくなってきた時期。
今日も快晴で、休日ならどこもかしこも人で溢れかえっているだろう。
窓からの風と、温かい陽気に当たっているチョロ松にそろそろと後ろから近づき、急にその背に抱き付いてみる。
「うわっ! ビックリした……なんだよ急にっ」
「んふふー! ごめんごめん、なんだか抱き付きたくなる背中をしていたよ、チョロ松くん」
「はあ? 何言ってんだよ……」
「ライブ、残念だったね。でも、きっと次は取れるよ、チケット」
「……うん、そうだね」
お腹の辺りに回されたナス子の手に自分の手を重ね、お互いがお互いの温もりに浸って少しだけ目を閉じたが、それはお互いは確認しあえない。