第99章 【リクエスト作品】【R18】【カラ松ルート】イタくも愛しい
「う……」
「手ぇ、冷たいねぇ? おじさんが温めてあげようか。あぁ、身体も冷えちゃってるかなぁ? んー?」
そういう男性が手を握るだけでなく身体を抱きしめようとしてくるものだから恐怖で固まりそうな身体を必死に動かし両手で突っ張る。
「やめてください、あの……本当に行くんで離してもらえますか」
「いいじゃん、おじさんとさぁ〜この後いい事でもして温め合お」
男性が言うが早いか、急に彼の後頭部に硬いものがぶつかり前のめりにベンチから落ちそうになったのを踏ん張り後ろを向くと、息を切らしたカラ松の姿があった。
「カラ松っ」
ナス子は名前を呼び、酔っ払いの力が緩んだ隙に足早にカラ松の元へと走りよる。
すぐにカラ松はナス子の手を握り、相手の男性を無言で睨んだ。
「ココアが売り切れていてな、他の自販機も行っていて遅れてしまった。一人にしてすまなかったなナス子、怖かったろう?」
怖かったのには否定は出来ないし、すぐに言葉が震えで出て来なかった為彼の手を強く握り返したナス子。
そのナス子の反応によりカラ松の頭に血が上ってしまう。
「もう大丈夫だ、俺が来たからには安心しろ」
あぁ、こんな事前もあったな。
あの時はまだ付き合ってなく、しかも私を襲ったのは猿だった。
いや、もうこの酔っ払いも猿と一緒か。
いや、そんな余裕はないのに何考えてんだ自分。
パニックになると意味不明な事を考えてしまうと言うのはよくある事だろう。
「いってぇな、何すんだお前!! これはもう警察案件ですね、そうですね!! 慰謝料払えよお前っ」
「フン、この悪の権化め! 何がポリス案件だ、お前がしたことがポリス案件だろう! マイプリンセスに何をしていたかその汚い口で白状するんだ。それとも自分は何もしていないとでも言うつもりか?」
「ああ、俺は何もしてねぇよ? そのお姉ちゃんが自分から俺を誘ったんだ」
「はい?」