第99章 【リクエスト作品】【R18】【カラ松ルート】イタくも愛しい
トスっと隣に誰かが座って、カラ松の事で頭がいっぱいだったナス子はビクリと肩を怯ませる。
「姉ちゃん一人〜?」
「え……」
急に自分よりも年上だろう外見の男性に話しかけられて、ドクリと緊張で心臓が脈打つ。
「もう夕方だよー、こんな暗い公園に一人じゃ危ないだろぉ? おじさんが家まで送ってやろうか〜?」
「あの……大丈夫です」
話しかけてきた男性はあまり呂律が回っていないよいうで、酔っ払いだと言うことがすぐにわかる。
まさかこんな自分がいくら相手が酔っ払いだと言えど外でこのように絡まれるなど思ってもみなかった。
きっと酔っ払いだから女なら誰でもいいのだ、と思っても酔っ払いでも酔っ払ってなくても関係ない。
まだ男性は怖いと思うとすぐに立ち上がりカラ松の後を追おうかと思うのだが、立ち上がった瞬間に手を握られ体全身が総毛立ってしまいそうだ。
しかもスリスリと指で手の甲をなぞられて余計に気持ちが悪い。
「………!」
「どうしたのお姉ちゃん、なんも怖がらなくても大丈夫だってぇ。優しさで声掛けただけだからさ〜、そんな早く逃げなくてもいいじゃんなぁ?」
「ご、ご、ごごご、ごめんなさい。あっちに彼がジュースを買いに行ってるので私も行かなくちゃ……」
いくら接客業務をこなしてると言えど、酔っ払いは特にタチが悪い。
それは職場でもこういう時でも同じだ。
「ん〜? そんな嘘つかなくても本当になんもしないってぇ。はい、座って座ってぇ」
無理やりに引っ張られてまたベンチに座らざるを得なくなり、少しでも隣の男性と距離を取ろうと隙間を空けて座り直したが、その距離はすぐに男性につめられてしまう。
「あ〜、本当やってらんねぇよなぁ。こんだけ頑張って働いてもいい事なんて全然ないし」
「……そうですかぁ、大変ですねぇ」
辿々しくも無視するよりはこの相手の気を害す事はないだろうと返事をして、カラ松が早く戻ってくれるのを祈ると、また伸びてきた手がナス子の手を握る。