第14章 六つ子が気持ちよくなる薬を私が飲まされました 六つ子と私
俺の家までは数分だが、普段煩いナス子は喋りたくて喋りたくて仕方ないように見える。
何か言おうとしては口を押える。
「今日一日はそれ消えないよ?もう諦めて喋っちゃえばいいのに・・・」
「・・・あんた、一体私にナニ飲ませた訳?!あんなに気の利く優しい弟が、変な物を飲ませてくると思わないじゃん!!そのお陰で私はアンタにこんなに素直に、一松がどれだけ素晴らしい弟かを語るハメ・・・に・・・って、ぐぬぉぉ!」
ぐぬぉぉ!って・・・。
「だから知りたいなら松野家へって言ってるでしょ・・・?」
俺は抱いていたミケ子の喉を撫でながらナス子を横目に見下ろす。
こんな薬飲まされたら俺なら死ぬね。
可哀想なナス子、でもこれはお前の日頃の行いが招いた結果な訳。
俺は別にこの作戦をやるかやらないかはどっちでも良かったけど、やったら楽しそうだと思ったから賛同した。
特におそ松兄さんとトド松はノリノリだったし・・・。
実はあの話には続きがあって、ぶっちゃけ言っちゃうとこの薬はデカパンに頼んで用意してもらったヤツなんだよね。
エスパーにゃんこの時みたいに。
これはキモチ薬とは違うけど、やっぱあの博士の作るものって効果てき面だよな。
さすがにコレをケツから注入しろって言われなくて良かったけど・・・。
そんで俺は、ミケ子に会いに行く口実にナス子を松野家へ誘導する役として任務を与えられた。
面倒だったけどミケ子には会いたかったし、兄弟には秘密だけど、ナス子の家にいくのはいつもの事だしね。
「そうそう、聞きたかったんだけどさ・・・」
「・・・??」
口を押えたままのナス子が俺を見る。
俺はニヤリと笑い、ナス子に問いかけた。
「俺の事・・・、どう思ってる?」
普段なら俺だって絶対聞けない。
けど今コイツは薬が入ってるから、今なら聞けるよね。
「一松の事は・・・」
あぁ、また口押えてる。
まどろっこしいな、他のヤツラに聞かれたくないから今聞いてんのに・・・
俺はミケ子を片手で抱いたまま、空いた手でナス子の手を口から離した。