第99章 【リクエスト作品】【R18】【カラ松ルート】イタくも愛しい
いつも自分がヤラかして注目を浴びることには全くもって鈍感な癖に、それ以外では気になることもあるようだ。
一方女性用トイレに閉じこもってしまったナス子は鏡と向き合い頬を押さえ自らの熱を手で冷まそうとしていた。
「やっちまったあぁ……マンションじゃ普通にやってる事なのになんで外だとこんなに恥ずかしいの……隣の席のカップルも同じ事してたよね、あれが世間では普通なの? 普通がわからん! マジで漫画の世界やん」
まじまじと鏡に映る自分と目が合うと、少しだけ口元がニヤけているのに眉は下がっていて、嬉しいような困ったような変な表情になっている。
「落ち着け〜、落ち着け〜。あれはカラ松。世界一、いや! 宇宙一イタくてオンリーロンリネスって何アイツの口癖うつってんだ私っ」
ペシっと頬を軽く叩く。
大きく深呼吸をして脈を整えると、一人で待たせている彼の席へと戻っていった。
「ごめんカラ松、一人にしちゃって」
「あぁ、なんてことはないさ。それよりも体調が悪いんじゃないだろうな? 外出したいとは言ったがもし」
「いや、悪くない悪くない!!」
目を白黒とさせて先ほど己が逃げてしまった行為を今度は逆の立場から挑戦してみる事にしたナス子。
パンケーキをナイフとフォークで切るとカラ松の口に持っていく……が、しかし。
「かかかかカラ松も、パパパパパンケーキ食べるでしょ?!はいっ」
まだ恥ずかしさと言うのは抜けるものでもなく、残像が見える程に向けたフォークが震えている。
もうガッタガッタ震えてるもんだから口に入れたくても入れられない。
「ウェ、ウェイトウェイト!!ナス子、早すぎて見えな……ああっ、シロップがその辺に飛び散ってるじゃないか!」
「あ、ごめ」
「………………」
彼女の行為に一瞬だけ真顔になるカラ松は、ふぅ……と一息つきナス子の手首を掴む。
震えていた手はまだそのままだが、自分の身体を前に倒し己から口の中にパンケーキを食す。