第99章 【リクエスト作品】【R18】【カラ松ルート】イタくも愛しい
「うん! 食べる〜、カラ松もパンケーキ食べるでしょ?」
「ああ、ほら」
「お、おぉ?」
自らのフォークでザッハトルテを一口掬うカラ松は何の抵抗も恥ずかし気もなくそれをナス子の口元へと持っていく。
「どうした? 食べないのかナス子」
「え、えと……」
毎度普段はあまり外出しないと言っているが、勿論このような店にも馴染みのないナス子、しかも今日は彼氏とデートだ。
友人同士、はたまたただの幼馴染の関係だった時は何とも思わなかったこの状況に、いつもと違う感情が過る。
決して嫌ではないのだが、もどかしいと言うか……なんとも言えない感情である。
いや、なんとも言えるな、普通に恥ずかしいのだ。
お店の客は女性が多いが、カップルもいないわけではない為、公園の時とは違いあまり二人に関心を向ける者もいない。
なのに何故だか周りの目が気になる。
自分が思うほど周りは自分達を気にしていないし見てもいないというのはわかってはいるのだが、気恥ずかしさからどうしても見られているのではないかと少し自意識過剰気味になってしまう。
「ナス子?」
「とっ」
「?」
「トイレ!! 非常に尿意をもよおしたあああああぁっ」
「ええぇーーーーーーー?!」
叫びながら脱兎しトイレに向かうナス子は、案の定店の客たちの注目を浴びる事となる。ついでにスタッフからも。
そして……目の前の席にフォークを差し出して停止してしまったカラ松も、だ。
結局公園でもカフェでも注目されてしまった訳だが、今回はカラ松の所為ではなくナス子に意気地がないだけだった。
「………ん、ん゛ん゛っ!! もぐ…………美味いな」
注目され、仕方なくもカラ松は独り言を呟きナス子が食べる筈だった一口を自分の口に運ぶ。