第99章 【リクエスト作品】【R18】【カラ松ルート】イタくも愛しい
散歩ではない、これはデートだと言いながらも二人は湖のある公園を歩いていた。
寒さを感じないわけではないが、カラ松の言う通り風もなく、眩しい程のサンシャインが二人に降り注ぐ。
眩しさに目が細くなってしまうナス子にカラ松がサングラスを渡そうとしたが丁重にお断りしたのだった。
「ナス子は本当にシャイガールだな。俺が身に付けていたからと言って恥ずかしがる事はないと言うのに」
「うん、全く恥ずかしがってないよ!……あ、違った。別の意味では恥ずかしいよっ」
「フ……なるほど、な」
何がなるほどなのか、カラ松の中ではどう解釈されたのか、聞いてもきっと後悔するだろうなんて思うと聞く事はなく、手を引き湖側へと彼を導いて行く。
「は〜〜〜、午前中から外出ってだけで面倒だし、日差しで溶けるかと思ったけど結構気持ちいいかも! あっ、見てカラ松、あそこに鴨の親子がいるよ」
嬉しそうに木の柵に手を置くと、ナス子は笑顔でカラ松に泳いでいるカモ達を指差す。
親鴨に必死についていく子鴨達の様子にまた癒される。
だが彼女の横顔を見る彼は鴨には目もくれず、ついついナス子の横顔に夢中になってしまい、柔らかい笑みを浮かべるとサングラスの真ん中当たりを人差し指でクッと上げて誇らし気に口を開く。
「だから言ったろう? たまには外に出るのも悪くないとな? しかも一緒に出かけているのはこの俺! カラ松ことお前のラヴァーだぜぇ〜」
今日が平日で良かった。かなりだだっ広い公園だが、人影はまばらだ。
ただしそれは少ないというだけで、いないわけではない。
その人達の視線だけはイタかった。
「なるほど、カラ松とこれから外出する時はこういうのも覚悟しなきゃいけないって事か……精神鍛えなくちゃなぁ」
「ん? 何か言ったか?」
「え?! いや、なんでもないよ……鴨が可愛いねって言っただけ」
カラ松は相変わらず人の話が聞こえておらず、周りの目すら気にならない様子でナス子の顎を軽く上げる。