第99章 【リクエスト作品】【R18】【カラ松ルート】イタくも愛しい
「そうでした……くぅ、やっぱ言わなきゃ良かったかなぁ」
なんてボソボソ言っていても、もう後の祭りだ。
あの事件以来、カラ松はまた幼馴染の時の関係だった時の態度にプラス、恋人への対応の二つが復活した。
さすがに自分から我儘を言って欲しいなんて言っておいて聞いてあげない程自分も酷い彼女ではない。
それにカラ松を見ると、出かける恰好がお洒落だ。
お洒落と言ってもいつものあのイタイヤツなのだが。
せめてスパンコールのパンツだけでもなんとかならないだろうか。
一緒に歩いていて社交ダンスする人とかと間違えられそうだ。
「仕度してくるから待っててね」
「ああ、とびっきり可愛く頼むぜぇ。なんたって今日はデートだからな、フフン」
くそぅ、あの笑顔。可愛いな、なんて思ってしまうと苦手なお洒落だって化粧だって彼の為に尽くしたくなってしまった辺り、自分もカラ松に甘いなと思ってしまう。
顔を洗って、歯を磨いていると、台所から珈琲のいい香りがして気持ちが和らぐ。
そういう所は相変わらず気の利く男子である。
「着替えの前に目覚めの珈琲はどうだ? ナス子」
「あははー、さすがカラ松! わかってるぅ」
カラ松がコタツの電源もつけてくれていたのかコタツも暖かく、中を覗くとミケ子が熟睡している。
「あ、ミケ子にご飯」
「あぁ、もうやっておいたぞ」
「ありがとう、ママ」
「ママン?! そこはダーリンでいいじゃないか」
カラ松の行動は気の利く男子なのだが、時折パパだったりママになる。
理想の旦那様ってこんな感じなのかな、なんて思うと珈琲を啜りながらカラ松の顔を見てしまい丁度目が合ってしまう。
「どうした? 苦かったか?」
「あ、ううん! 丁度いいよっ」
「そうか、良かった」
カラ松は素直だからたまに旦那になるだの結婚だのを口に出す。
だからと言って今の状況でそんな関係にはなれない。
なんたって相手はまだニートで自宅でのうのうと甘い汁を啜っているのだから。