第98章 【十四松ルート】元気を分けてあげる
「姉さん、一緒に行きたかった?」
もしかしたら、皆と一緒におでんを食べていた方が姉さんは元気が出たかもしれないって思って姉さんの顔を伺う。
「んーん……皆には悪いなぁって思ったけど、十四松と二人になりたかった」
「ホント?」
「うん、その……皆が来てくれて嬉しかったんだけど、何も言えなくって……でも、アイツらのテンションで少しだけ気がまぎれたのも嘘じゃないよ」
ああ、やっぱり。
兄さん達に相談したのは間違ってなかったんだぁ、やっぱりボクはまだ一人前にはなれないんだな。
「でもね、十四松が皆に言ってくれたから皆が心配してくれたでしょ? 私だったら多分、十四松以外には言えなかったし」
「えぇ、でもチョロ松兄さんは? いっつも相談してるでしょ?」
手を繋いでリビングに戻って、壁に寄りかかると、ボクは姉さんをまた座って抱きしめている形になる。
小柄サイズだからちんまりしてて可愛い。
「相談、も、する時はするけど……こんな無様な姿、恋人以外に見せられないよ。あ! でもね、それはそれですっごく怖いってのもあるんだよ?! 十四松に嫌われたらどうしようとか、十四松に呆れられたらもう私はどうしていいのかって……んっ」
「んっ」
「………っふ、ん、んっ」
馬鹿なナス子ねえさん。
ボクが姉さんを嫌ったり、呆れた事なんて人生で一度もないのに。
「っぷっはー!! んまぁい」
唇と唇を放して、ボクは自分の口周りを舐める。
「ふ、ふふふ……良かった、いつもの十四松だ」
「? ボクはいつだってボクだよ!!」
「さっき色んな事言っちゃったから、引かれちゃったかなって心配になってたの、臆病な恋人でサーセン」
「あははははは、じゃあボクも臆病でサーセンっした!!」