第98章 【十四松ルート】元気を分けてあげる
「おそ松兄さん、その落ちた奴そこじゃないよ? それはそっちの棚の……」
もう皆より随分とこの部屋に通うボクは、姉さんがどんな拘りで物を適当に重ねているかわかる。
「あ、こっち? どれも同じに見えんのに違うのなぁ」
カラ松兄さんは、ナス子姉さんの部屋の掃除にたまに来てくれるけど、今はボクの方が姉さんの拘りには詳しい。
ここに、アレがあって。
そこには決まってこれを置いて、起きたらこれをして、寝る前には必ず隣に置くものだってある。
好きな匂いも知ってるし、好きな物だって、付き合ってから沢山知る事が出来た。
そう思うと、さっきのモヤモヤは少し晴れて行く感じもするんだよね、ボクは単純だから。
「えっと……よくわからなかったけど、皆心配してくれてありがとう」
玄関で、ボクとナス子姉さんが横並びになって五人を見送る。
「心配なんかしてないっつーの! だってお前には十四松がいるしぃ? 茶化してやろうと思ってきただけだから!!」
「はっはっは、だが十四松でも心配になる事もあるだろう。だからこそ俺達に相談を」
「カラ松!!」
「アウチ! 何故蹴るんだチョロまぁつ」
「………余計な事は言うなって事でしょ」
「もー、これ以上いたらまた帰るの遅くなるし行くよ皆~。おでんでも食べにこうよ」
「おっ、いいねぇ!! んじゃ、二人共、まったなー!!」
━━━━━━━━━━ガチャン
外からガヤガヤと音がして、それが遠のいていく。
いつもはそこにもボクがいた。
姉さんも、たまにそこに混ざってた。