第98章 【十四松ルート】元気を分けてあげる
「十四松、代わりに説明できる? ナス子が言ってもいいって言うならだけどさ……」
「一松兄さん……えーと、うーんと」
どうしよう。
でも、姉さんの事大好きなのはボクだけじゃないし、姉さんだってボクに対してとは違うと思うけど皆の事が大好きな事には変わりはないし……。
ただ心配なのは、また自分の事で迷惑をかけたと心を痛めてしまわないかって事。
「言いにくい事なら言わなくていいんじゃな~い?」
「そう? なんか心配なんだけど」
おそ松兄さんが頭の後ろで腕を組みサラっと流すと、そこにチョロ松兄さんが割り込む。
いつもナス子姉さんの親友として相談役を請け負っている兄さんは俄然心配で仕方がないらしい。
ずびびっ、とナス子姉さんが大きく鼻を啜るとまた腕でゴシゴシと目が真っ赤になるまで瞳を擦る。
「姉さん、そんなしゴシゴシしたら目に傷がついちゃうから」
ボクがその手をとって、擦るのをやめさせて、その状況を皆に見られているのが少し気まずい。
「あー、腹減ったぁ! ナス子なんか食べ物ないー?」
突然立ち上がった自由なおそ松兄さん。
姉さんの家だと言うのに、いつもこんな感じで自分の家のように歩き回っては物を漁っている。
ボクとしてはあまりいい気分ではないけど、今のおそ松兄さんのこのあっけらかんとした空気は今の姉さんには必要かもしれないと思ってしまうんだよね。
「あっ、そこの棚の上動かしたら……っ」
━━━━━━━━━━がしゃーん
「うわっと、あっぶねぇ! お前なぁ、棚の上に物詰みすぎだからっ」
「だって片づける時間なくって……、それよりもちゃんと元の位置に戻してよね」
「はいはい、わかりましたよー」
やっぱりね、姉さんはおそ松兄さんが相手だと強気だからこうなる事を知ってる。