第2章 平穏な日々に嵐はやってくる~カラ松~
「ふごぉぁあああ、悔しい! また騙された!! 今日も騙された!!! いつもいつもいつもアイツは飄々と人を騙して何もなかったかのように去っていくーーーー!! 悪魔めえぇぇ!!!」
怒りのあまり転がるだけでは飽き足らず床をドンドンと叩き挙句の果てに頭をうちつける。
階下の人ごめんなさい!!今だけ許して!!
苦情は全部松野おそ松にお願いします!!
「やめるんだナス子! そんなことをしてもお前が傷つくだけだぞっ」
カラ松もなんだかんだ察しはしているらしいがまだ状況が理解出来ずに私を羽交い絞めにする。
「もー、なんでいつも騙されるかな~~~口でも態度でも敵わないのが悔しいよ~~~」
「どうどう、落ち着け。茶でも淹れてやるから少しリラックスしようじゃないかっ」
「カラ松~~~、本当にあんたはいい子だよ。部屋に侵入してきたのはおいといて、おそ松みたいに変な事言わないしやらないしイタイけどいいやつだよー」
いや変な事は言うか。まぁいいや。
「ふっ、なんたってオレは……、優しいからな!」
なに、最近そのセリフハマってるの?
優しいけどさ。
憤慨してる私にお茶を二つ分注いでくれる。
先ほどのおそ松の時のように向かいあい、コタツへと座りカラ松が淹れてくれた温かいお茶をを飲むと少しホっとした気がした。
お茶を仕舞っている場所が何故わかったとか、そういうこと突っ込むのはもう今はいいや・・・
「ありがとう、カラ松。姉さんは素敵な弟を持って幸せだよ」
「ハッハァー、そうかそうか。いつでも頼ってくれて構わないぜぇ? ナス子姉は姉のような存在だからな!」
うん、長男と違って次男は可愛いわ本当。
ゲスい時もあるけど頼りになるよねぇ。
「さ、カラ坊。そのおそ松から預かったという鍵を今度こそ私に返品なさい」
「え?ああ、わかった」
手をすっと差し出すとカラ松は普通に持っていたスペアキーを手に乗せてくれた。