第93章 【逆ハー卒業ルート】今日はなんの日?
だって私だってこの家にお金を入れてる訳だし、この六人を養っている一人には変わりない。
癪だけど金も貸すし、お小遣いだってしつこい時はあげる時だってあるし。
「「「「「「で?」」」」」」
「へ?」
oh?! まさかの返しだ。
驚きすぎて扉の鍵開けてやっと六人と面と向かいあった。
全員真顔でこっちを見ている。
でって言う。
でって何?!
「 感 謝 す る 日 ! 」
「うん、いつもしてるよぉ? 別に今日だけじゃないし良くない?」
「そうそう、一生懸命働いてくれてる父さんやナス子や家の事やってくれる母さんにちゃーんと僕だって感謝してるって」
「ねー、そんな感謝なんて毎日当たり前の事だよね! べっつに今日限定で感謝するのっておかしくないかなぁ? ね、ナス子姉! いつもありがとう、って思ってるよ」
「お、おう??」
あれぇ?
勤労感謝の日に拘った私が可笑しい気がしてきた。
コイツらいつも私に暇すら与えない癖にいつも感謝してたのか。
そう言葉で聞いちゃうとなんかムズ痒いって言うのもあるし、う、嬉しいじゃねぇかコンチクショウ。
「え~っと、皆! ごめんね、まさかそんな嬉しい事を毎日ちゃんと考えてくれてるなんて思ってなくって……なんか私だけちょっと頑固だったかなぁ、あはは」
そして、嬉しさと恥ずかしさで頭を掻く私のもう一方の手は紫の男にガシリと掴まれる。
「………ハイ、確保ー」
「ん?」
笑顔のまま首を傾げ、私は掴まれた手首を見ながら皆を見回した。