第92章 【チョロ松ルート】ネガティブ女子
両手を出して、こちらへと来るよう促す。
「大丈夫だよ、嫌だって言うなら何もしないよ。我慢するよ、さすがに」
「………」
僕の言葉と動きに、ナス子は涙を流したままヨタヨタと近寄り僕の胸に頭を預ける。
「どうしようもない馬鹿だなほんと」
「知ってます、重々承知でございます」
ギュっと抱きしめてやると、緩く僕の服を掴みナス子は頭を摺り寄せる。
こういうケアだって、一応出来るんだよ僕も。
付き合う前はこんな事日常茶飯事だった訳だし。
って思うと、やっぱりコイツって危機感ゼロ。
いくら幼馴染で親友って言っても一応僕だって男な訳だし正直僕が相手じゃなかったらどうなってた事か━━━━━━━━━━。
ま、今更そんな事を思っても仕方のない事なんだけどもさ。
「頑張って作ろうとしてた人間関係が崩れるって、僕はあんまよくわかんないけどさ……辛かったね」
「ん………」
「気が済むまで泣いたら、一つだけ言わせてくれるかな」
「え、な、何?」
「気が済むまで泣いたらでいいって」
「いや、気になるんですけど……」
僕の言葉が逆に気になった事がこれ幸いとでも言おうか、ナス子の涙は一瞬で止まり、腕の中の彼女は僕を見上げる。