第92章 【チョロ松ルート】ネガティブ女子
だってナス子は僕の彼女だし、そう簡単に僕にしか触れられない場所に触れて欲しくはない。
会社の中を引っかき回す訳にはいかないからさ、言うだけで実行は本当は出来ないんだけど。
「え!! いや、それはちょっとやめて! 余計にややこしくなるからさっ、じ、自分で……休み明けから頑張るよ!!」
「お前に出来るの? 人に嫌われたくない、良ければ好かれたい。いい人だと思われてたいナス子がさー」
今日の僕はナス子にとってもの凄くキツイ事を言っているかもしれない。
けど、ナス子は罪悪感があり、きっと優しくされるだけじゃよりモヤモヤが募るだろうから言ってやる。
「怖いよ? 行動に移すのだって、触れられて嫌だって逃げるのだって、今でも好きには好きな先輩な訳だし……もう、本人にそれは言わないけど。ただね……これで良かったのかなって思って」
珈琲を見ながら、ナス子はまだそれを一口も口に淹れてはいない。
放っておくと冷めるばかりだけど、あまりつつくと話が反れるからそこは突っ込むのはやめておこうと思う。
「どういう事?」
逆に僕は珈琲を飲みながら、ナス子からは視線を外さずなるべく冷静な態度で接する事に徹した。
「だって、他の人に相談したって事は……その先輩が、こ、孤立しちゃうんじゃないかって思って、一応他の子はそんな事ないって言ってくれたけど、だいたいいつも私の隣にいるし、私が何か一人でしてると絶対に私の隣に来て一緒にいる事が多かったからさ」
「ふーん、でもそこを許したら結局何も変わらないでしょ。お前が変わらないと、結局相談した相手を裏切る事になるし、お前だってまた怖いって思い続けちゃうんじゃないの」
「うん、そう。それはそう……うぅー」
「泣くくらいなら最初から気を付けてれば良かったろ。僕は日頃から口をすっぱくしてあんまり男に関わるなって言ってたんだから」
ナス子のこういう所は初めて見る訳じゃないけど、毎回冷たくしてしまう。
別に妬き持ちではなくこれは心配から。