第92章 【チョロ松ルート】ネガティブ女子
「しょ」
「しょ??」
「職場……で、今まで恋愛対象で見られる事もないし、ましてや女性扱いもされてないし楽な関係性の仲間同士のつるみが好きでずっと安心していたのですが、つい昨日、事件が起きました」
「なにそのTVドラマみたいな言い回し」
大方職場が原因だろうと言うのは察していたんだけど、客にセクハラはされる話はよく聞くけどスタッフの悩みを聞くのは初めてだ。
ナス子の事を女扱いしてないって事に安心してたからこそ僕もまま、まーったくそこは心配してなかったんだけど。
いや、うん、多少は妬くよ? だって彼女だし。
「それで、事件てなに?」
「よくある話……あ、ダメだ、心臓がバクバクするし怖くなってきた」
あぁ、これは男性不信のトラウマか何かが思い出されているんだなと簡単に悟ってしまう。
と、すると……職場の仲間の誰かがナス子に対して何かしたか、若しくは恋愛感情を持つ相手が現れたのかもしれない。
嫌だな、これに関してはモヤモヤする。
「こんな事をチョロ松に話してもいいのか迷ってたんだよね。もう仲間の女子には何人かに相談に乗ってもらったんだけど」
「うん、要件を言ってくれるとありがたいんだけど」
「あのっ、あのね……信頼してた大好きな大先輩に……後ろから胸を包まれ、て……今までは感じた事のない恐怖を感じてしまったって言うか……、馬鹿だよね。いつも大好き大好き~って自分から言って、自分から近寄って慕ってた癖に、そんな展開になって怖がるとか調子いいじゃん?」
「それは……職権乱用ていうかパワハラに価するんじゃ?」
「ちが、違う……いや、違わな、い? もうわかんない。
絶対にそんな事ないって完全に思ってたのに、ショックだったていうか、もうその人が近づくだけでも心臓が破裂しそうなくらいバクバクして怖くなって、今までの大好きって感情で相手を見れなくなってしまった」
「うーん……もしかしてその相手ってお前が凄い尊敬してて懐いてた先輩の事?」
「うぅ、そうです……」
ナス子にはとても懐いている、何十代も離れた慕っている男性スタッフがいる。