第92章 【チョロ松ルート】ネガティブ女子
「…………職場でなんかあったの?」
ナス子は昨日は仕事だった。
だから他のダメダメな兄弟が何かしてきている訳ではないだろう。
「チョロ松~ぅ、私……もうどうしていいかわからん」
「なに? 何があったんだよ、いいから話してみなよ。一人で考えるよりは誰かに話した方が楽になるんじゃないの?」
コイツの場合、いつも一人で抱え込むし、勝手に悩んで精神的にどん底にまで落ちる事が多い。
彼女の心のケアだって、彼氏の役目な訳だしここは僕の身体云々は我慢する事に決めた
。
「…………珈琲、淹れてくる」
「まぁ、その方が落ち着くってのもあるだろうしね」
二人分の珈琲を用意して落ち込んだ様子のナス子が戻ってくると、テーブルに二つお揃いのマグカップを置き溜息をついた。
「で? 今度の悩みはなんですかねナス子さん」
「ぬ~……」
テーブルにデコをつけて突っ伏してしまうナス子は、僕に話すべきかどうか悩んでいるのだろう。
今更な関係なんだし別に気にしなくていいのにさぁ、まどろっこしい。
「言いたくないなら特に追求はしないけど」
「っ、言いたくない訳じゃ……ない、けど。困っている、悩んでいる」
「だからそれが何だって聞いてるんだけど? 一応僕だって彼氏だよ? 彼女であるお前が悩んでたら心配になるのも当然でしょ」
机に頬杖をつき吐き捨てると、まだ葛藤しているナス子はテーブルにのの字をかき躊躇しているのだが、それがまたイライラしてくるんだよなぁ。