第90章 【微エロ】【トド松ルート】トッティと合コン
沈黙。
さすがのさすがに言葉が出ず、ナス子はC子が来てからと言うもの一度もトド松の顔を見れない。
自らの職場で彼女の正体を話した時、唖然として中々正体を信用してくれなかったトド松に、こうやって説明するほかなかったのだが、さてどうしたものかと頭を押えた。
「…………ナス子姉」
「うぁ! は、ハイ━━━━━━━━━━!!」
「実はちょっと面白いとか思ってんでしょっ」
「あ、あーあー……」
気の毒に思うのに、自業自得のようにも感じてしまう。
だってトド松だし、あの六つ子の一人だし。
しかもこうやって騙されるのはイヤミチビ太のレンタル彼女で二度目。
「オモッテナイヨー」
「嘘、目が笑ってるし口元がヒクついてるしぼくの顔一度も見ないよね」
「オモッ、オモテナイヨー」
「なんで片言?! 絶対思ってるでしょっ」
帰ったら兄達、特に協力してくれたチョロ松になんて言おう。
寧ろ全員にバレたくはない。
ナス子との間に邪魔をされたのはとても嫌だったが、自分が女の子にモテたと言うその事実だけは少しだけ六つ子の中でもワンランクツーランク以上に上の人間になれたと言う優越感があったのも嘘ではない。
「くっそぉ~、二度目! 二度目だよっ、なんでこうなるかなぁ、なんで騙されるかなぁ~」
「仕方ないよ、トド松。女の子の経験少ないんだし……元気だしなよ、ぷふっ」
「~~~っ、やっぱり笑ってるじゃん」
我慢していた笑いは、トド松が床に突っ伏し床を拳で叩く音で抑えきれずに漏れてしまった。
「ま、でもさ! 騙されたにしても浮気はしないって判明した事だしこれで めでたしめでたし!! って事でいいじゃないのぉトッティ~」
「ナス子姉が悪魔に見える」
「付き合う前に散々私に色々言って来た、アンタにだけは言われたくないんだけど」
突っ伏してしまったトド松の背中をぽんぽんと優しく叩いていたナス子も悪魔呼ばわりされて軽く恋人を小突く。