第13章 レンタル彼氏、俺 おそ松side
あーじれったい、もう無理。俺一人でも行っちゃおうかなぁ。
なんて考えながらもやっぱ置いて行くのもなぁと考え直し暗闇に声をかける。
「そろそろ出て来いよー?彼女が彼氏一人にすんなよなぁ」
・・・・・・・・・・・・・・・
静かだった通路に今度はヒューっという風の音がする。
オイー、今度は何が出てくるっていうんだよぉ。
なんて俺が身構えると、後ろから何かがぶつかってきた。
「言われて飛びでて・・・じゃじゃじゃジャーーーーン!」
古っ!!!!!!!!
「ってうわぁああああああああぁ、オイゴルァ!お前いい加減にっ―――」
一瞬ビビったけど、ナス子の体が俺の背中にぴったりくっついてる。
っていうよりこれ俺、後ろから抱きしめられてね?
「ヒヒヒ、ビックリしたかい?」
「別に、俺一人でも怖くねぇって言ってんじゃん!」
なんか柔らかいモン当たってんだけど?
これ俺がさっき妄想してたヤツの一つだよね?
なんでコイツそれ実行しちゃってんの?!
もしかして彼氏のフリなんて口実で本当は俺の事マジで好きなんじゃね?!
もしそうじゃないならもうこれ、ただの馬鹿な女だわ。
「なにしてんのナス子」
「え、おそ松がやりたいって言ったカップルごっこだけど?」
えーーーーー、ここでそれ出すぅ?
さっき妄想で言ったけどさ、お前それ全否定したよね?!
あ、でも抱きあう的な事は言ってたか?
「・・・」
俺、完全に思考停止したわ。
怖いとかそういうんじゃなくてオッパイだぜ?
いくらチンパンジーのおっぱいって言ってもやっぱチンパンジーのおっぱい触ったら気持ちいいんじゃねぇの?
「おそ松?おそ松ー??あらららら、そんなに嫌か!」
言うとナス子は俺の体から自分の体を放して俺の手を握る。
「・・・」
思考がおいついて来ないけど、もうちょっとチンパンジーの抱擁を堪能しても良かったかもしれない。
ん、てことは俺今ってチンパンジーの彼氏なの?
「急に抱き着いてごめんってー!もうしないからさっ」
俺は無言でまた指を絡める。
そんで前はなるべく見ないようにして凄い速度でナス子の手を引き通路を突っ切った。