第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
「……別にいいんだけどさ、どうしてこのタイミングでそんな嘘を……」
「いや嘘じゃねーよ! ホントに働いてたのっ、僕らどんだけ信用ないの?!」
ナス子の言葉にすかさずチョロ松が突っ込みを入れる。
この三男も、就職活動がどうのこうのと口では言っているが、口先ばかりで決して本当に働こうとはしない男だ。
六人の中ではまだ救いがあるほうかもしれないが、結果は同じ。
「ホントーでっせー姉さん。ぼくたちね、もうニートはやめたんだー! 働くって、辛いし疲れるだけだと思ってたけど、やってみると案外楽しいこともあるね!」
「同感……まぁ面倒で嫌なことのほうが多いけど……思ってたほどじゃ……ないかも。猫が工場の裏に住み着いてて可愛かった」
「フッ……一生遊んで暮らしたい……そんな夢を見ていた時もあったが、今は違うっ……そう! 夢は一生ナス子と過ごしたいという内容にシフトし、それに向けて動き出す……オレェ……! ドリームザカムトゥルー!」
「さすがに急に正社員とかは無理だけどさぁ、俺たち六人もいるんだし。これからちょっとずつでも稼げば全員で暮らしていけるぐらいはできると思うんだよねーへへへっ」
「嘘……じゃ、じゃあ、ホントに? ホントにアンタたち……?」
俄かには信じられなかったが、みんなが喋れば喋るほど、その内容は真実味をおびていく。
前もって嘘を用意しておいている、ということも勘ぐったが、おそ松たちにそこまでして自分に嘘をつくメリットはないだろう。
「ちゃんとした目的がある時はちゃんとするんだよ、ぼくらも!」
六つ子たちは、気恥ずかしげに、だがどこか誇らしげに全員が首を縦に振る。
「そういうことだからさ……ナス子、改めてになるけど……僕たちと、ずっと一緒に、あの家で暮らしてくれる?」
赤い顔をしたチョロ松が、いつのまにやらトド松をおしのけナス子の手を取ってそう聞くと、ナス子はまた何やら目がしらが熱くなり、ボロリと大きな涙を流す。
チョロ松の手をぎゅっと強く握り返し、満面の笑顔を浮かべたナス子のこの時の表情を、六つ子たちは目に焼き付けた。
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