第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
━━━━━━━━━━ 英語 わからん。
そう、フォーエヴァーはまだわかる。
よく聞く事、よく見る文字だ。
いや、もう一つの文字ももしかしたらよく使う文字なのかもしれないが、頭の残念なナス子は英語が読めない。
多分、トゥゲザーフォーエヴァーだとは思うが内容はわからなかった。
けどそんな事をこんな感動的な場面で言えるハズもなく、必死に頭を捻って考えてみる。
「どうしたのナス子姉? また泣きそう?」
トド松の声で大きく身体が跳ねる。
皆が今いなければ、すぐにでもスマホで翻訳を調べるのだが……。
この場面で全員が退場するなどあり得る訳がない。
「………み、皆! 本当にありがとうっ、私は本当に幸せものだよっ……」
「………怪しいな」
「うん、怪しいね」
「な、なに……カラ松、チョロ松?」
優しかった視線が急に疑いの眼に変わって、コチラもビクビクしてしまう。
「ねぇちょっと、ナス子姉まさか……彫ってある英語が読めないとか言わないよね?」
「えー! 姉さん読めないのー?! 日本人なのにー?!」
「は、はぁ?! よよよよ、読めるしっ! と、とと、とぅげ、とぅゅぎゃざー、ふぉーえぶぁー、でしょっ?! わ、わかるしっ!」
あまりにもたどたどしい英語でそういうナス子の表情は焦りまくっていて、読めたは読めたが、これは意味はわかっていないなと六つ子たちに肯定してしまったようなものだった。
全員が深いため息をひとつついて、目の前のナス子に視線を集中させる。
「う……あの………はい……FOREVERは、わかるん……だけど……」
Together も forever も、今となっては小学生レベルの英単語なのだが、ナス子は英語が大の苦手。
それは子供の頃から変わってはおらず、英語なんて読めなくても生きていけるし、と開き直り今までの人生を生きて来た。
そのツケが、まさかこんな形で返ってくるとは誰が思うだろうか。
「━━━━━━ 永遠に、一緒に」
それは、誰が言ったのだろうか。
ナス子が弾かれたように顔を上げ、みんなの顔を見た時はすでに全員の口は閉じられており、全員がナス子に向かって微笑んでいた。