第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
「腰抜かして泣いちゃうなんて、そんなに驚く事ぉ? 恋人で、しかも嫁候補に指輪贈るのなんて男として普通の事だろぉ? なぁ、お前ら」
「本当に遅くなっちゃったけどね。まだちゃんとした就職先も見つけられてないし、僕たち実家からの自立だって出来ないし……その後にでも、とも僕は考えてたけど、でも……こういうのって女性からしたら嬉しいものでしょ?」
距離が近い場所から声がかかりやっと六人の顔を見る。
一向に涙は零れ、目は赤くなっていき、鼻水まで出そうになる。
きっと、寝起きの不細工さもあって、もっと不細工と思われるかもしれないが、もう既に恋の病に落ちている手遅れな六つ子はそんなナス子を見て可愛い、愛しいとしか思えない。
「うちのおひぃ(姫)さんは泣き虫でんなー」
「そうでんなー! どないしましょかー?」
「何でそこでコントが始まるかな?! 今すっごくいいムードだったんだけどっ」
いい感じのムードを急に兄二人にぶち壊され、トド松が突っ込む。
やっぱり、どんなにカッコイイ事や普通の恋人同士がする事をしていても六つ子のこのムードの読めない残念な所は健在だ。
しかし、ナス子はそこが好きなのだ。
いや、そこと言うか全てが今はもう愛しく感じる。
今ならゴリラなりチンパンジーなりカピバラなり何を言われてもキレる事はないだろう。
ポンっと頭に手を置かれ、おそ松が屈んで顔を覗き込む。
「なぁナス子、この意味、わかる?」
「……なに、おそ松?」
「ナス子だけリングをしているのではなく、俺達全員が同じものをもっているんだ」
「う、うん」
「ダメだよ、二人共。ナス子は絶滅危惧種並みに女子力皆無で鈍いんだからちゃんと言わないと」
チョロ松め、とは思ってしまうが確かに言われた通り長兄が言いたい事は上手く伝わらなく、ナス子は首を傾げチョロ松やおそ松、カラ松を見る。
「キスしてやったって気づかないくらいだしね、鈍さは本当に昔っから変わらないけど」
昨日今日といい、本当にコイツらは生まれた順に喋る癖があるのかとお決まりに、少しだけ突っ込み心が出るくらいには回復はしてきたがまだ脳は完全にはおいつかない。