第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
「満足したならいいよ、それで」
無言で立ち上がり先に歩き出す一松を追ってナス子も歩き出す。
隣に追いつき顔を見上げると耳まで赤くなってしまった一松が目に入りニヤリと顔を覗き込んだ。
「照れてます?旦那」
「別に……照れてないし」
「なはははは、可愛いヤツめ!」
わしゃわしゃとボサボサ頭を撫で、二人は部屋に戻り再度就寝するのだった。
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完全に日が昇り、朝になるとスマホのアラームが起動して音が部屋に鳴り響く。
「ふぁ……海行ったから寝不足だぁ~まだねむぅい」
「姉さんおはようございマッスルマッスル!!」
「うう、十四松の声が煩い~」
後5分とでも言うように布団を被り煩い言葉をシャットアウトしたが、その掛布団は呆気なくめくられる。
「昨日あんなにハッスルしてたんだからもう少しだけ休ませてぇ~~」
めくられた布団を十四松の手からグイグイと引っ張り取り返そうと必死に抵抗を試みるも男の力には所詮適わないので逆に引っ張られて倒れ込む。
「む~、イジメだ! これはもうDVだDV!!」
「布団めくったくらいでDVにはなんないでしょ。もう皆起きてるし、お前もそろそろ起きなよナス子」
丁度良く目の前に屈む、既に着替えを終えたチョロ松の両ひざが目の前に見えて枕とばかりに膝に顔を埋めてやる。
「わ、おいっ」
「あと10分~……膝枕気持ちいい~」
「…………す、少しだけ、なら」
説教臭い口も煩いチョロ松だが、こう甘えられるとチョロい。
頬を染めて頭に手をおいてやり優しく撫でるのだが、すぐに批判の声は四方八方から飛び交った。
「チョロ松、お前そこはちゃんと起こせよ!」
「そうだぞぉブラザー、ナス子の教育にも悪いだろ。いくら愛しのレディと言えど甘やかしすぎは禁物だ!」
「クソ松ががそれ言う? 家事やら掃除やらすぐ喜んで引き受けちゃう癖に……」
「そ、それはまた違う話と言うかなんというか」
「なんだかんだ言っていっちばんナス子姉に甘いのってカラ松兄さんだもんねぇ」
「う゛」
ギクリと的を突かれ、カラ松は自分の胸に手を当てる。
だからと言って今のチョロ松の美味しい状態を見逃せる訳でもなく、ナス子の足首を無理やりおそ松が掴み引っ張るとすぐに心地の良い枕から離されてしまった。