第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
悪戯っぽく笑うナス子を、まだ覚醒しきらない目と頭でぼんやりと見ていた一松だが、ナス子のその台詞が脳に浸透していくと、ニヤリと口端を上げて悪い笑みをこぼす。
「ああ……ついに誰かを殺るんだね……? 誰? やっぱりクソ松から?」
「はい違ーう、はい怖ーい、ストップデンジャラス思考」
自立しよう、と呟いたおそ松のような表情で目の前の危ない四男の思考をピシャリと遮断し、突き出した手で人差指を立て、それを自分の口へとあてる。
「みんなよく寝てるし……ついてきて」
「……?」
首を傾げつつも、乱れた浴衣、というよりほぼ裸だった一松はそこらへんにあった浴衣を手に取り適当に着ると、忍び足で部屋を出て行くナス子の後を追った。
部屋の外に出ると、ナス子がくるりと振り向き一松に手を差し出すと、一瞬きょとんとした一松だったが、その意図を理解すると、迷ったように、照れたように、おずおずと自分も手を差し出し、二人は手を繋いで目的の場所へと静かに歩いていくのだった。
・
・
・
ザザーン………
「~~~~はぁ、海の匂いだぁ。波の音ってなんかわかんないけど落ち着くよねぇ」
「………」
大きく伸びをして目いっぱい海の匂いを吸い込むナス子を横目に一松は幸せそうにも笑う。
レア一松到来だ。
「ねぇ一松、また子供っぽいとか思ってるんじゃないでしょうね?」
一松の笑顔に対しムスっとした顔をして見返したナス子は、呆気なくそれは否定される。
「いやぁ、ナス子も言ってたけどさ……不思議だよね。俺ら、小さい頃から一緒だったし、ずっとナス子はナス子って思ってたのにさ、まさか恋人になっちゃうなんて思いもしなかったって言うの? まさに奇跡だよね。まさか俺がお前と付き合える……なんて思ってなかったし」
「はーい、出たぁ一松のネガ発言!!」
二人は砂浜に座り、海を眺める。